こんにちは、キョロ(→プロフィールはこちら)です。
ずっと気になっていた小説、『三千円の使いかた』(著・原田ひ香/中公文庫)を読みました。
「あ〜わかる!」つい共感してしまうお金の悩み
『三千円の使いかた』は、御厨家の家族それぞれがお金について悩み、自分が納得する生き方を探っていく物語です。
介護が必要になったとき、「もしかしたら年金が足りないのでは?」と悩む、御厨琴子。
友人の熟年離婚をきっかけに、自分の経済状況に悩み始める御厨智子。
専業主婦の姉が、すでに600万を貯金しており、目標が、1000万円貯めることだと知り、焦る御厨美帆。
地道に貯金をしているものの、友人がお金持ちの男性と結婚する予定であることを知って、「これでいいのか?」と悩み始める井戸真帆(旧姓・御厨)。
はたから見れば幸せそうでも、それぞれが切実に、お金や人生の悩みを抱えているのだと気づきました。
専業主婦の暮らしって窮屈?
この本の登場人物のなかで、いちばん共感できたのは、専業主婦・井戸真帆(旧姓・御厨)の悩み。
夫の年収は300万円台。子どもはひとり。
それでも毎月の先取り貯蓄とボーナス一部で、毎年100万の貯金。もうすでに600万円貯めています。
とある日、井戸真帆は、友人と食事に行きました。
友人が、お金持ちの男性と結婚する予定で、華やかなダイヤのついた婚約指輪をつけ、広いマンションに住むことを知ります。
今の生活に満足していたはずの真帆なのに、その日から心はモヤモヤ。
「これでいいのかな?」と迷い始めてしまうのです。
わたしも真帆と同じく、専業主婦です。
お金を気安く使えないこと、「これでいいのかな?」と自分の人生に迷ってしまうことなどに、とても共感しました。
専業主婦を選んだのは自分。
でも、働いている友人などと出かけたときに、お金の使い方には差があり、わたしは「働いてまたお金を稼げばいいし」というメンタリティーにはなれないことに、モヤっとすることがあります。
お出かけして、自販機で飲み物を買ったとき、「あ〜、水筒忘れなきゃよかった」とちょっと後悔したり、
疲れて外食になってしまったときに、家計簿を見て「今月は、食費の予算が守れないかも……」と焦ったり。
「自分で選んだ人生なのに。わたしは幸せに生きているはずだし、納得しているはずなのに」
真帆と同じように悩むことがあるので、「わかる、わかる」と読む手が止まりませんでした。
「これがわたしの人生だから」胸を張って生きていきたい
「お金を自由に使いたいなら、働けば?」
そんな声が聞こえてきそうですが、別に働きたいわけではないんですよね。
専業主婦には、専業主婦の生き方があります。
専業主婦でいれば、お金が自由に使いにくいこともわかっていて、自分の人生も「これでいい」と思っているんです。
でも、他人の人生を知ると、心がざわついてしまう。
納得したいのに、納得しきれない。
こんな葛藤が、この小説から伝わってきて、どんどん読み進めてしまいました。
本を読んでいて、結局、「これがわたしの人生だから!」と開き直ってしまうしかないのだろうなと思いました。
そして、そのなかで自分の幸せを見つけて生きていくしかないんですね。
好きなように買い物ができなくても、気軽に遠出ができなくても、「それでいいんだ、自分の幸せを見つけよう」と思うこと。
自分らしい生き方に納得して、感謝すること。
こういう毎日を繰り返していくことでしか、自分の幸せは見えてこないのだと思いました。
結末を知って、気分はスッキリ!
プチプラの洋服しか買えないし、ディズニーランドに行ってもお土産は少ししか買えないし、ムダ遣いしたら罪悪感を感じてしまうし。
「でも、これがわたしの人生!」と胸を張って生きていきたいと思いました。
「どんな生き方をしていきたいのか」
「自分にとっての幸せってなんなのか」
これは生きていれば、ずっとついてまわる悩み。
そこから逃げずに、その都度、納得できる生き方を模索していく作業が大事なのでしょうね。
「これでいい」と思えるまで、考えて考えて答えを見つけていく作業。
気が遠くなりますが、それがきっとその人の人間性の深さにつながるんだろうなと思いました。
これからの自分が楽しみになってきました。
とってもおもしろい小説です。
お金の使い方に興味のある人、自分の人生に納得したい人は、ぜひ読んでみてくださいね。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
自分の人生に納得して、人生を変えよう!